あなたのシミケアは大丈夫? 最新美白メカニズム
2021.09.09
シミは一気に見た目年齢を上げてしまうほど、気になるものですよね。けれども、なかなかシミケアに効果を感じない方も多いのではないでしょうか? それはどうしてなのか? 最新美白メカニズムを知ると、効果的な美白ケアが叶うため、今回は少し難しい内容ですが、ここが悩み解決できるかできないかの分かれ道。ぜひお読みください。
その前に、ここで2つの言葉を覚えてしまいましょう。ぐんと頭に入りやすくなります。
メラノサイト=メラニンを作る細胞
ケラチノサイト=表皮細胞
メラニンができるメカニズムは4つあります
メラニンができるメカニズムは、大きく分けて4つのステップ。シミはこの4つのステップにエラーが起こっている状態です。このステップは通常であれば紫外線等から肌を防御してくれる「生体反応」であり、シミにはなりません。しかし、エラーがどれか一つでもあると、肌が茶色くくすんだり、シミができてしまうのです。
- 「命令」・・・メラノサイト(メラニンを作る細胞)へメラニン合成指令が出される
- 「合成」・・・メラノサイト内で、酵素チロシナーゼによるメラニン生成開始
- 「輸送」・・・できたメラニンをケラチノサイト(表皮細胞)へ渡す
- 「分解」・・・ケラチノサイトでのメラニン分解
難しいですよね…。詳しく、極力わかりやすく説明していきますね。
【1.命令:メラニン合成指令】
ケラチノサイト(表皮細胞)が紫外線や外部刺激を受けたり、ホルモンバランスの乱れが発生すると、メラノサイト(メラニンを作る細胞)に向けて、「メラニンを作れ!」という情報が伝達されます。
紫外線等で活性酸素等が発生すると、様々な遺伝子スイッチがONになり、「メラニンを作れ!」情報となるタンパク質が作られるのです。
これらのタンパク質(情報伝達物質)がメラノサイトの細胞膜にある受容体MCR1(メラノコルチンI)を通して、メラノサイト内に伝わり、次の過程へ。
代表的なメラニン合成指令物質は、
α-MSH(色素細胞刺激ホルモン)、EDN-1(エンドセリン-1)、SCF(幹細胞増殖因子)、PGE-2(プロスタグランジンE2)、プラスミン(肝斑の原因とされる因子)など。
★対応成分★
アーチチョーク葉エキス、シーケルプエキス、レッドアルゲエキス、トラネキサム酸、カモミラETなど
【2.合成:メラニンの生成】
メラノサイトが情報を受け取ると、チロシナーゼという酵素が活性化。メラノソーム(メラノサイト内にある、メラニンを合成する小器官)にて、チロシンというアミノ酸から酸化反応が促進されて、様々な過程を経て、メラニンが合成されます。
★対応成分★
ビタミンC、ビタミンC誘導体、アルブチン、コウジ酸、エラグ酸、リノール酸、ルシノール、アゼライン酸など
合成されたメラニンには、「フェオメラニン(淡色メラニン)」「ユーメラニン(黒色メラニン)」の2種類があります。合成の途中段階で、グルタチオンかシステインが働くと、フェオメラニン(淡色メラニン)が作られます。つまり、グルタチオンやシステインは肌を「美白ルート」に導く成分なのです。
★対応成分★
ビルベリー葉エキス、3-ラウリルグリセリルアスコルビン酸(グルタチオン生成促進)など
※グルタチオンそのものも化粧品原料として存在しますが、特殊な加工をしないと肌に浸透しにくいといわれています。
【3.輸送:メラニンの輸送】
作られたメラニンは、メラニンの運び屋タンパク「キネシン」「ミオシン」などによって、メラノサイト内を移動。メラノサイトは樹状突起がありますが、その突起が手のように伸びて、ケラチノサイト(表皮細胞)へメラニンを渡します。
★対応成分★
レッドアルゲエキス、ナイアシンアミド、ヒメフウロエキス、タイムエキス、プルーン分解物※タイムエキスはメラノサイト側から輸送をブロック。ヒメフウロエキス、プルーン分解物はケラチノサイト側が「受け取らない」アプローチ。レッドアルゲエキスは両アプローチを兼ねています。
【4.分解:メラニン分解力の低下】
メラニンを受け取ったケラチノサイト(表皮細胞)は、リソソームというメラニン分解酵素(カテプシン等)を持つ小器官と共同して、オートファジーが働き、メラニンを分解。
実は、正確にいうと、輸送の段階で渡されるのは、メラニンではなくメラノソーム。工場(メラノソーム)でみかん(メラニン)を段ボールにいっぱいに詰めたら出荷される、のと似ています。
メラノソームはラグビーボールのような形。骨組みの中にメラニンが点々とあるような構造です。通常は骨組みごと分解されてメラニンは無色になっていくのですが、オートファジーの活性が下がると、メラニン分解ができず、シミとして残ってしまうことになります。
★対応成分★
アクアタイド、トウキエキスなど
※「輸送(の一部)」「分解」はメラノサイトではなく、ケラチノサイトで行われるもの。数少なく点在するメラノサイトを狙うより、表皮の約95%を占めるケラチノサイトを狙うほうが、安全に&効果が高く得られるといえます。
その他~ターンオーバー促進と基底膜ケア
通常、ケラチノサイトはターンオーバーして皮膚表面へ移動して、垢となり排出されます。しかし、メラノソームが蓄積したケラチノサイトは細胞分裂が抑制され、正常にターンオーバーができなくなるという知見もあります。正常なターンオーバーを促すのも美白ケアには必要です。
最新知見では、シミのある部位でも、表皮の上のほうの細胞(角質層)のメラニンは消失しており、代わりに、表皮と真皮を隔てる膜=基底膜が杭のようにドーンと深く真皮側に落ち込んで、メラニンがかたまって存在していることがわかっています。
よく言われる「メラニン“排出”」に最近「?」がついているのはこのため。「分解」のほうが大切であり、また、基底膜ケアも重要な美白ケアになります。
異なるメカニズムを網羅した美白成分を選びましょう
シミができるメカニズムを知ると、どのメカニズムに作用する美白成分を選べばいいか?明確になります。異なるメカニズムすべてをカバーするために、多種の美白成分を選ぶことが重要。たとえば、美容液では「命令」「合成」「輸送」を網羅している美白成分が配合されているから、クリームでは「分解」に作用する美白成分配合のものにしよう、などです。
ワクチナイザー®は「命令」「合成」「輸送」「分解」すべてを網羅するよう開発されています。ワクチナイザー®もプラスミンに着目しているシーケルプエキスを配合していますが、「私は肝斑だから、プラスミンを抑えるメカニズムを手厚くしよう」ということであれば、「トラネキサム酸配合のクリームを使って補完する」などがおすすめです。
美白ケアでマストなのは「鎮静ケア」
「命令」のところで説明したように、PGE-2(プロスタグランジンE2)はメラニンの合成指令となる物質ですが、実は、代表的な抗炎症成分グリチルリチン酸ジカリウムやツボクサエキス(CICA)はプロスタグランジンE2阻害の効果を持っています。ちなみに、プロスタグランジンE2は痛みにも関係しているため、市販薬の痛み止めもこれを抑える作用を持っています。
また、高い温度はメラノサイトを活性化させる可能性があります。代謝を上げてメラニンを「排出」しようとして、サウナなどに出かける方も多いですが、シミが気になる方は温度の高い場所には極力行かないようにしましょう。暑さやほてりを感じたら、冷却するのもおすすめ。
最新知見では、シミ部位には異常な毛細血管が密集していたり、神経が密集しているという報告があります。過度なマッサージや刺激は避けましょう。
シミが気になる方はマストで「鎮静(抗炎症、クールダウン)」を心がけることが重要です。ただし、アゼライン酸や過度なクールダウンは、メラノサイト以外の細胞(コラーゲンを作る線維芽細胞など)の活性も下げてしまいますので、エイジングケアには逆効果。長期間の使用は控えてください。
今回は難しい内容でしたが、実は、ここに書かれている内容以外にもシミができるメカニズムはたくさんあります…。開発者の咲丘はシミ体質で悩みに悩んできた歴史があるため、今回のコラムはついつい力が入りました(笑)。ワクチナイザー®開発以前は、すべての美白メカニズムを網羅するために、何種類もの美容液を使わざるを得ないほど大変でした。
美容IQを高めて、効果的な美白ケアを行いましょうね。