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COLUMN美容コラム

成分説明~進化したピュアビタミン「VCエチル」

前回の記事で、非常にたくさんのビタミンC誘導体があることを知っていただいたと思います。その数あるビタミンC誘導体の中から、開発者の咲丘が最も評価している「推し」ビタミンC誘導体=「VCエチル」についてご紹介します。咲丘が、エビデンス的に納得しているものであり、実際に原料を使用して最も効果実感を得たビタミンC誘導体です。

3-O-エチルアスコルビン酸 (略称:VCエチル)
医薬部外品名称:3-O-エチルアスコルビン酸
水溶性。医薬部外品の美白有効成分としても認可されたビタミンC誘導体。

1.即効性と持続性を兼ね備える

通常、ビタミンC誘導体がビタミンCへ変換されるには、生体内で酵素によって分解されることが必要です。しかし、VCエチルは、酵素による分解を必要とせず、そのままの形で皮膚内でビタミンCと同様の作用を発揮します。即効性を有しています。
また、VCエチルは72時間かけて代謝されるため、持続性も併せ持っていることが特徴。即効性と持続性を併せ持つ、稀有なビタミンC誘導体なのです。
※B16メラノーマ細胞を用いたメラニン抑制試験において、VCエチルは他のビタミンC誘導体のAPMやAA2Gよりも24時間、72時間の時点で有意にメラニン抑制効果を発揮することが確認されています。

2.ピュアビタミンに匹敵するビタミンC含有量

ビタミンC誘導体はビタミンCに“しっぽ”のようなものをくっつける(=化学修飾させる)ことで、ピュアビタミンCにはない浸透性&安定性を実現します。VCエチルは“しっぽ”部分が小さく、ビタミンC(アスコルビン酸)部分が86%とずばぬけています。数あるビタミンC誘導体の中で、最もビタミンC含有量が多いのが、非常に素晴らしい特性。「進化したピュアビタミン」といわれる所以です。

※以下の表のとおり、APSでも55%程度。APPSやVC-IPはさらに濃度が低いですね。

3.浸透性も安定性も抜群の高さ

安定しているため、また、酵素を必要とせずそのままで効果を発揮するため、メラノサイトへ直接的に到達しやすい=浸透性の高いビタミンC誘導体です。
※3次元皮膚モデルを用いた浸透量の比較では、AA2Gと比較して約3倍、APMと比較して約10倍高いことが確認されています。浸透性が高いといわれるAPPSとの比較試験はありません。

40℃(pH5)で90日が経過しても95.9%と非常に高いビタミンC残存率。安定性が高いことも大きな特徴で、マイナスでのイオン導入も可能です。

4.Wのブライトニング効果を発揮する優等生

チロシナーゼ活性(←UVBにより活性化)を阻害作用と、メラニン単量体重合(←UVAにより活性化)抑制作用。VCエチルはWの作用を持つのが特徴。
どういうことかと言いますと…

①ファーストブロック!チロシナーゼ活性阻害
UVBを浴びるとメラノサイト内でチロシナーゼという酵素が活性化して、メラニンを過剰に作ります。それを阻害して、メラニンを還元する。他のビタミンC誘導体も持っている作用です。※ドーパ(メラニンが作られていく過程の物質)を基質とした試験では、他のビタミンC誘導体や、美白成分としてポピュラーなアルブチンよりも高いチロシナーゼ活性阻害効果を持ちます。

②セカンドブロック!メラニン単量体重合抑制
メラノサイトでメラニンが作られていく過程で、最終的にメラニンは一つではなく、「メラニン単量体」が「重合」してメラニンになります。UVAがこの「メラニン単量体の重合」を促進して、皮膚の黒化を起こさせるのです。VCエチルは、このメラニン単量体が重合化するのを抑制し、UVAによる皮膚の黒化を防ぐ効果が期待できます。これはVCエチルのみが持つ作用であり、開発者の咲丘が効果を実感する所以でもあります。

5.優れたコラーゲン合成促進効果でエイジングに期待

ヒト線維芽細胞を用いた試験では、AA2GやAPMと比較して、高いコラーゲン産生促進能を示しています。高いエイジングケア効果が期待できます。

6.VCエチルの注意点

すべての化粧品原料と同様に、お肌に合う・合わないの個人差があります。VCエチルは、メラニン還元力の強さから、刺激や赤みを感じる場合があります。お肌に合わない場合は無理せずご使用を中止してください。
また、基本的にビタミンCは浸透圧の関係で水分蒸散を招きます。VCエチルはビタミンC含有量が最も高いかわりに、水溶性のため「(水分蒸散を防ぐ)蓋」となる油分がありません。乾燥を感じる際は、化粧水(水分)とクリーム(油分)などで保湿を念入りに行いましょう。

紫外線量の多い夏を越えた肌にとって、ビタミンCは大きな味方です。「ビタミンCって本当はどれが良いの?」「ビタミンC誘導体の数が多すぎて、覚えられないわ」という方、前回の記事と併せて、このコラムをお読みいただければ、美容IQアップ!ぜひ化粧品選びの際の辞書としてご活用くださいね。 
そして、忘れてならないのがビタミンCの酸化問題。安定性の悪いビタミンC誘導体には注意が必要です。ビタミンCはレモン色を想起している方が多いのですが、実は「無色透明」です。黄色いのは酸化しています。黄色や褐色に変色したビタミンC配合商品は使用しないようにしましょう。

※本記事はビタミンCとビタミンC誘導体に関する一般的な知見に基づいた記述と、咲丘個人の感想も含むものであり、製品の効果を保証するものではありません。

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